【続編】長男のカゴ
次の瞬間、目を開けたら朝になっていた。



あたしを心配そうにのぞき込む善の顔…。



「おはよ…」

「大丈夫…か?」

「うん、昨日より楽…」

「そっか…、よかった…」



ホッとした善はあたしの頭を撫でた。



その手が懐かしいような気がして、泣きたくないのに涙があふれて…。



「とられるって思ったっ…」

「うん」

「勝てる気がしなくてっ…怖くて…。辛すぎて…消えてしまいたかったよっ…」

「ダメだよ。怜が消えたら俺が困る」

「善っ…抱きしめてっ…」



遠慮がちに抱きしめられた。



この匂い、この暖かさ…。



善だよ…。



「ごめんな、怜…」

「もういいっ…」

「本当にごめん…。俺…どれだけ怜を泣かせればいいんだろ…。泣かせたくなんかねぇのに…」



善のことだけだよ、こんなにたくさん泣くの。



善はあたしの弱点だ…。



「善、ふたりだけの世界に行こう…?誰にも邪魔されたくない…」

「うん、俺も行きたい…」



このまま時間なんか止まればいい…。



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