メリアと怪盗伯爵
「??」
メリアは音のした方をじっと目を凝らした。
(・・・気のせいかしら・・・??)
何も見当たらなかった為に、メリアは背を向けて客室へと戻りかける。
『パタン』
今度ははっきりと、小さくはあるが扉の閉まる音が耳に入った。
(誰か、他の侍女でも残っていたのかしら・・・)
不審に思い、メリアはもう一度後ろを振り返った。
メリアの見つめる先は、屋敷の中でも一番奥の部屋。そして、地下室へと続く階段のある部屋だ。
「まさか・・・ね・・・??」
そう呟き、メリアはランプを手に持ち静かに奥の部屋へと足を進める。
こんな時間に、誰もあんな部屋を使用する使用人も侍女もいない筈だ。
だとしたら、風か何かで開いていた扉が自然に閉まったのかもしれない、とメリアは思った。
そっと奥の部屋の扉を手にかける・・・。
ギギギギ・・・
古くなった扉が嫌な音を立てて開く。