メリアと怪盗伯爵

「デイ・ルイス侯爵は、このメイグランドの絶対権力を持つ、女王イザベラと通じている」

 メリアは大きな目でエドマンドの美しい翡翠色の目を見つめた。パトリックの柔らかい印象とはまるで正反対の彼の目だが、なぜかメリアはその目から視線を離せないでいた。

「女王様と・・・・・・??」
 
”女王と通じる”とは、即ち、女王の権力を笠に着ているということを意味している。
つまりは、デイ・ルイス侯爵が何らかの機会に女王のイザベラの目に留まり、巧くその権力の恩恵を受けてきたことに他ならない。

「そうだ。君にも分かるように、もう少し噛み砕いて言おう。女王イザベラは未だ独身で、一部の情報によれば、愛人がいるという話も出ている」
 それを聞いて、情報に疎いメリアであっても、エドマンドの言おうとしていることにピンときた。

(アドルフ・デイ・ルイス侯爵が、女王様の愛人!?)

 はっとして口を両手て覆ったメリアに、パトリックが付け加えた。

「それだけじゃない。今やイザベラ女王は、デイ・ルイス侯爵の言いなりだ・・・・・・。
この国は、彼の都合のいいように動き始めている。なんとしても、僕らは彼の行動を止めなければならない」
 
 メリアは、とんでもなく大きく恐ろしい事実を知ってしまったようだ。

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