メリアと怪盗伯爵
6話 専属メイド
「彼女はメリア。今日から僕の専属侍女だから、みんなよろしくね」
キラキラと光が降り注いできそうな白え笑みを浮かべ、モールディング伯爵は右手を上げた。
「はじめまして、メリアと申します。不束者ですが、精一杯・・・」
メリアが自己紹介を始めたと同時、
「・・・またですか。パトリック坊ちゃん・・・!」
目の前にいた片眼鏡の男性が、ぷるぷると肩を震わせて呟いた。
「へ?」
首を傾げたメリアを通り越し、ものすごい形相で男がモールディング伯爵の肩に掴み掛かる。
「!?」
突然のことで、メリアが呆気にとられていると、男は大声で泣き始めた。
「貴方という方は・・・、ああ!! 貴方という方は・・・!! また拾ってきたんですね!? ああ、なんということですか!!」
「お、落ち着いて?」
揺さぶられながら、モールディング伯爵はその男を宥めようと懸命になっている。
「見て下さい、この屋敷の中を・・・!! 使用人のそのほとんどが貴方がどこぞから拾ってきた変わり者達ばかりではございませんか・・・!! ああっ、私がどれだけ苦労を・・・!!」
「ちょっ、セドリック。兎に角落ち着いて」
集められていた使用人達が慌ててセドリックという男を止めに入る。