メリアと怪盗伯爵
双子はびっくりしたように顔を見合わせ、その後すぐに可笑しそうに笑った。
「あの・・・、わたし、何かおかしなこと言いました・・・??」
不安そうなメリアに、リリーとサリーは目尻に涙を浮かべながらぶんぶんと首を横に振った。
「いいえ!!」
「メリアちゃんはどこもおかしくなんてないわ」
メリアは不安気な目で二人をうるうると見つめている。
「メリアちゃん、それはね・・・」
「”恋の病”よ」
パチクリと瞬きし、メリアは「恋の病??」と思わず聞き返していた。
「ええ。メリアちゃんは、その人にきっと恋してしまったんだわ」
「恋すると、みんな急にドキドキしたり、苦しくなったり、眠れなくなったりするものよ」
ウィンクしながら、リリーとサリーはメリアの鼻にちょんと人差し指を乗せた。
「心配しなくても大丈夫」
「女の子なら誰しも一度は経験する筈よ」
メリアは鼻に乗せられた二人の指をじっと見つめた。