メリアと怪盗伯爵
「お、お付きとしてでは無いってことでしょうか・・・??」
確認の為に、メリアは驚愕した顔でパトリックに訊ねる。
「そう。侍女としてではなく、”パートナー”として」
「・・・・・・」
雇い主のパートナーとして由緒ある貴族の屋敷で開かれる夜会に出席するなど、到底考えられないことだ。それも、メリアはただの侍女。身分不相応にも甚だ限界がある。
「ダ、、、ダ、、、ダメダメ! 絶対ダメです!!」
真っ青になって、ぶんぶんとメリアは首を横に振る。
「どうして!? 頼むよメリア! 僕を助けると思って、ね?」
懸命に説得しようとパトリックがメリアの手をきゅっと握り締めて目を潤ませる。
「い、い、い、い、いけません!! いくらパトリック様のお願いでも、やっていいことと悪いことがございます!!」
ぶんぶん首を横に振り続けるメリアに、パトリックが負けじと縋りつく。
「そこをなんとか・・・! 君が助けてくれないと、僕は・・・」
屋敷の外でのあの紳士的な態度とはまるで違うパトリック。メリアは内心、彼は闇の騎士(ダーク・ナイト)ではないかもしれないと少し苦笑を漏らした。