メリアと怪盗伯爵
「パトリック様・・・??」
思わず彼に声を掛けてしまったメリア。
彼ははっとした様子でメリアを振り返った。
「大丈夫ですか? 顔色が・・・」
「なんともないよ、すまない」
メリアが先程感じていたパトリックの表情の僅かな引っかかりは、やはり気のせいでは無かったようだ。
彼がデイ・ルイス侯爵と話し始めた直後から、明らかにその様子はおかしかった。
メリアが不審に思い口を開こうとした途端、ざわざわと後方からざわめきが起こる。
(何かしら・・・?)
二人が後方をちらりと見やると、堂々とした風合いの紳士が見えた。礼服に身を包んだ彼は、周囲の空気までも飲み込んでしまうような独特な緊張感を放ちながら、ちょうど広間に入ってきたところだった。
「ラ、ランバート伯爵・・・?」
一瞬彼とは気がつかない程、彼は別世界の人のようにまるで非のうちどころの無い居姿だった。
「完全な礼服の彼を見るの初めてだったね、メリアは。彼は同じ男の僕から見ても、まさに完璧な男だ」
さっきまでの妙な違和感はすっかり消え去り、パトリックはいつもの柔らかい笑みでメリアに微笑みかけた。
誰もが彼に一目置いている。羨望の眼差しが降り注がれる中、エドマンドはそれをまるで気にも留めずに、すたすたと二人の方へと近付いてきた。
思わず彼に声を掛けてしまったメリア。
彼ははっとした様子でメリアを振り返った。
「大丈夫ですか? 顔色が・・・」
「なんともないよ、すまない」
メリアが先程感じていたパトリックの表情の僅かな引っかかりは、やはり気のせいでは無かったようだ。
彼がデイ・ルイス侯爵と話し始めた直後から、明らかにその様子はおかしかった。
メリアが不審に思い口を開こうとした途端、ざわざわと後方からざわめきが起こる。
(何かしら・・・?)
二人が後方をちらりと見やると、堂々とした風合いの紳士が見えた。礼服に身を包んだ彼は、周囲の空気までも飲み込んでしまうような独特な緊張感を放ちながら、ちょうど広間に入ってきたところだった。
「ラ、ランバート伯爵・・・?」
一瞬彼とは気がつかない程、彼は別世界の人のようにまるで非のうちどころの無い居姿だった。
「完全な礼服の彼を見るの初めてだったね、メリアは。彼は同じ男の僕から見ても、まさに完璧な男だ」
さっきまでの妙な違和感はすっかり消え去り、パトリックはいつもの柔らかい笑みでメリアに微笑みかけた。
誰もが彼に一目置いている。羨望の眼差しが降り注がれる中、エドマンドはそれをまるで気にも留めずに、すたすたと二人の方へと近付いてきた。