ロサは侍女になることにした
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「ん、…ここは。」
懐かしい夢から目を覚ますと、見馴れない天井があった。
「…あ、お姉ちゃんが起きた!」
可愛く弾んだ声が聞こえた。すると声の主であろう少女が近づいて来た。
「お姉ちゃん!…はい、お水。綺麗な湧き水だから飲んでも大丈夫だよ。」
起きてそうそう、ずいっと水の入った器を差し出された。
「あ、あぁ…ありがとう。」頭を切りかえることに時間がかかったが、ロサは少女から器を受け取り、中の湧き水を飲んだ。
身体の中に染み渡る不思議な水だった。
ロサは少女に振り向く。

「そういえば、傷は大丈夫だったか?」
「うん。ほら元気だよ!」

と少女は怪我をした腕をぐるぐる回しながら「ね?」と言った。

「あぁ、よかった。」

ロサは少女に微笑みながらそう言った。

「ね、お姉ちゃん、一つ聞いてもいい?」
「?なんだ」

少女は少しもじもじしながら聞いた。
「どうして私を助けたの?」
ロサはきょとんとした顔をして「目の前で死にかけた人を助けるのは、いけないことなのか?」と言った。
「ううん!…そんなことないよ。だってお姉ちゃんが助けてくれたから、私がいるんだもん。」
と少女は笑顔で言った。

「そういえば、お姉ちゃんの名前はなんていうの?あたしは梅燕(メンイェン)っていうの!」

「私は、ロサだ。ロサ・エディータ。」

「わぁ〜。綺麗な名前だね。よろしくロサ姉ちゃん!」
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