ロサは侍女になることにした
「気分を害する話を私にしてくれてありがとう。すまなかった。」

「いいんだよ!お姉ちゃん!もう過去の話なんだから。気にしないで…ね?」

とてもつらい話だったのに。自分の為に気まで使わせて、本当にすまないことをした。

「ね!お姉ちゃんはなんでグルーヴに来たの?」
気まずい空気を切り替えようと梅燕が話をふってくれた。
「それは、食い繋ぐためだよ。」
「食い繋ぐ…ため?」
「私の実家も戦火でな、家族はそれに捲き込まれて……それから私は村を出た。村には食料はあったがな。」
「え。食べ物があったの?」
梅燕の問いかけに、ロサは小さく頷いた。
「私が村を出たのは、旅をしたかったからだ。」
「え!?食べ物の事とか心配じゃなかったの?」
「食い繋ぐことは大事だが、心配や不安は一切無かったな。」
「普通は心配するよ?これからの事とか…。」
梅燕は小首をかしげた。
「普通…。梅燕はどうしてそれが普通だと思うんだ?」
「え?」
「梅燕の言う、普通は何を根拠にして言っているんだ?」
「…みんながそう思って言ってるから?」
少し難しい質問に戸惑いながらも答えた。
「梅燕は自分ではどう思うんだ?」
わたし…?
わたしは…
「よく分からない。」
「…そうか。」
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