野に咲く一輪の花の如く
その人は写真を受け取り、ジッと見て考えていたけど、諦めたように首を左右に振った。
「見覚えは無いですね……多分、ここには居ないと思うけど、これがここに居る人の名簿だから、もしよかったら名前探してみてもらえませんか?」
名簿?
「はい! お借りします!」
私はそれを受け取り、探し始めた。
それは手書きの名簿。
上に『あ』『か』『さ』と大きく書いてあるから、五十音順になっているみたいだった。