野に咲く一輪の花の如く

「この人、この辺の人じゃないんでしょ?」

私が疑問に思ってるのを察したのか、後から来た方がそう言った。




「はい。仕事でこっちに来ていて、今回の震災で連絡が取れなくなって……」


「それで探しに来たのね? 安心して……彼、間違いなく生きてるから」


「……えっ?」




『生きてる』



そう信じていた言葉なのに、いざそう聞くと実感がなかった。



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