野に咲く一輪の花の如く
「なんか何処かで見た事あるような気がしてたら……以前、配給が終わった後に『何か食料はありませんか?』って、ここに来た事があったの。でも、支給される物は避難所の人の分だけでギリギリで、在宅の人の分はないってお断りした事があって……そしたら、ほら、佐藤さん」
「そう、その時、偶然私が近くでそれを聞いてて……声を掛けて事情を訊いたの。そしたら、自分はこの辺の人じゃなくて、今、お世話になってるお宅の食料を調達しに来た……そう言ってたのよ」
2人がそう説明してくれた。
『お世話になってるお宅』?
状況は分からないけど、進なら確かに、そうやってお世話になってる恩返しで、食料の調達に走り回りそうな気がした。