野に咲く一輪の花の如く

「伊藤さん」

「ん?」

「進を助けてくれて、ありがとうございました」



私はお礼を言っていなかった事を思い出して、頭を下げた。

すると、クスッと笑った気配がした。

私が顔を上げると、伊藤さんは苦笑いをしていた。



「まったく……あいつもあんたも、似た者夫婦だな」



えっ。



「あの、私達、まだ結婚はしてないですよ」



私の返答に、今度は楽しそうにニコニコと笑う伊藤さん。


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