野に咲く一輪の花の如く

鍵を車の鍵穴に差し込んでから、ゆっくり目を瞑った。



怖い。

本当は知りたくない。

本当は見たくない。

どんな映像なのか……。



でも。



もしかしたら、何か進の出張先の情報が分かるかもしれない。

もしかしたら、進の無事な姿がテレビに映るかもしれない。



確率が例えほんの僅かでも……今の私には、それにすがるしか術を思い付かなかった。



私は鍵を回して『オン』にした。



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