好きって言えない。
「澪は来ないの?」
ポンポン…
まるで犬みたいに。
自分の横を叩きながら、おいでよって目で訴えてくる。
「今日は帰るから。」
アタシは冷たく言い放ち、横にあった鞄を掴んだ。
「服着ないと、風邪引いちゃうよ。」
それだけ言い残すと、部屋を出た。
12月の始まり。
部屋を出ると、途端に体が冷えていく。
体と言うか、心が。
明かりがつけられた彼の部屋を確認すると、急いで家路を歩いた。
「はぁ…」
吐かれた息は白くて、冬が始まったんだと確認できる。
君と過ごす、二度目の冬がやって来た。