好きって言えない。
「え、また会ったの?」
友達の由利に呆れたように言われた。
アタシはぬくぬくと自分の部屋で暖まりながら由利を見た。
「…澪はこりないな~
何回、アイツに騙されれば気がすむの?」
「だって、呼ばれたらいきたくなる」
好きなんだもん。
なんてつけたけど、由利はため息をはいた。
去年の冬、由利と行った合コンで彼とであった。
「初めまして。村上康太です」
アタシの前に座り、ニコニコとアタシを見るその瞳に引き寄せられた。
顔はどちらかと言うと可愛い系。
少し長いまつげ。
茶髪のクリクリヘアー。
低い声。
全てが好みだった。
ただ話してるだけで、胸がときめいた。
「ねぇ、澪ちゃん…俺と抜けない?」
トイレに行ったアタシにそんなことを言う彼。
アタシは由利のことが一瞬頭によぎったけど、すぐに頷いた。