好きって言えない。
「…澪、おいで?」
ほら、今日もまた、呼び出されてアタシは来てしまった。
ダメだとわかっていても来てしまう。
「………。」
ねぇ、アタシたちって付き合ってるの?
なんて、いまさらそんなこと聞けない。
アタシだけが彼を好きで。
彼はアタシのこと、都合のいい女としか見ていないんだ。
「アタシ、今日は気分じゃないから。」
だから、ベッドには行かず、アタシはソファーに座る。
「別にいいよ、しなくても」
その言葉に少しだけ、胸が痛んだ。
アタシだけじゃないかもしれない。
そう思ったらたまらなく。
「ココアでもいれるね」
珍しくベッドから出てきたかと思えば、アタシのためにココアを作ってくれる。
はぁ、と彼の後ろ姿を見ながら、ため息をはいた。
好きって言ったら、アタシたちどうなるのかな。