ドライガール
「沙織、少し上手くなったんじゃないか」

「そうかな?」

「うん、味付けもいいよ」

「ありがとう」

陶冶は目を細めた。

「ありがとう、なんて、初めてお前の口から聞いたよ」

「そう?」

私は少し笑った。

彼は手を伸ばし、手のひらに合わせた。

「何してるの?」

「しわとしわを合わせるから幸せ」と、彼は笑った。

「なるほど」

「笑いなよ、君の笑顔、見たいんだ」

私は微笑む。
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