【短編】片思い
「………」
陽太はずっと黙ったままで、
だからあたしが先に
沈黙を破った。
「ごめん。びっくりしたよね。
美穂もいるのに…ごめん。」
陽太はうん、と言った。
「陽太と美穂はお似合いだよ。
2人の邪魔をする気はないの。
ただ…好きって………」
それだけは………
伝えたくて…………
「……っ…」
涙が、もう止まらない。
止まることを知らない。
苦しくて、切なくて、
ああ、なんで恋なんて…
知らなきゃよかった。
陽太の存在。2人の関係。
そして…この気持ちを。
知りたくなかったよ………
「ごめ、…陽太。本当にごめん」
「…うん」
「好きなの」
「うん」
「美穂にだって負けないよ」
「うん」
「……陽太ぁ……」