いつか昔の恋の唄―Last message―(仮)


「じゃあ、病気の事、話すね……。」

そう言ってから、いろいろと考えるような顔をする。



そして。

「私は、拡張型心筋症なの。」

ゆっくり話し始めた。



「……うん。聞いたよ。」


「ちっちゃい頃から、分かってたの。



10年は生きられても、15、20年は無理だろうって、言われてて。



でも病院の何もない部屋の中で、いつ死ぬかなんて考えながら生活していくの、嫌だった。


だから、

いっつも病院から退院したあと、いろいろな所に、引っ越したり、旅したりしてたんだ。



また入院しなさいって言われるまで。」
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