いつか昔の恋の唄―Last message―(仮)
『……今日、月が綺麗だね?』
電話越しの雪葉の声を聞いて、どんな表情をしてるのか想像する。
電話って、表情が見えないからもどかしい。
……でも、今日は簡単にわかったよ。
きっと雪葉は今、笑ってる。
月よりも、ずーっと綺麗な笑顔で……。
『……あれ…、春陽の部屋から、空って見えるよね??……ていうか、見た事あった…よね?私…。』
今は、きっとちょっと戸惑ってる。
「うん。今、見てるところ。……綺麗だね。」
窓に目を向け、答えた。
その戸惑いを拭うように、優しく。