今度はあなたからプロポーズして
留美はこういった場合、
大抵先に家に帰っている。
あの場で待ち続けるなど
あった試しがない。
仮に、待っていたとして
遅れた理由を訊かれても
行った先で高校の同級生に
会ったと言うのは
まず信用することはないだろう。
「同級生」と食事するだけなら、
余計な疑念を招くこともないか
と恭一は勝手にも自分に都合よく
この場を正当化した。
(到底、留美が
理解してくれる話じゃないしな)
せめて時間が掛かってるとだけ
メールしようと打ち込んでると
奈々子が店に入ってきた。
自分を探してる素振りに、
恭一はメールを打つのを止めて、
手を上げた。
奈々子はすぐに恭一に気づくと、
「ごめんね…店すぐわかった?」
と言いながら、席についた。
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