今度はあなたからプロポーズして
新宿に着くと、
電車を待つ間に
連絡だけはしておこうと
留美に電話したが、
何コールしても電話は繋がらない。
メールを送っても、
返ってくることはなかった。
(相当、怒ってるな…こりゃ)
恭一は楽観的に考えていたが、
池袋に向かう電車に乗り込んだ後
2回メールを入れても
一向に返信はなかった。
池袋に着くと、
先程のベンチへと急いだが、
既に奈々子の姿はなかった。
(そりゃ、そうだよな…)
恭一は奈々子が座っていた
ベンチに腰掛けて、
高校の頃の自分と奈々子を
思い出していた。
(俺の話を楽しげに聞いて、
よく笑ってたよなぁ…)
偶然の再会から
不遇に暮らす昔の恋人の事情に
恭一は気を奪われかけていた。
行方知れずの彼女よりも、だ。