今度はあなたからプロポーズして
ルノワールからの最寄り駅は
住宅街を抜けた先にあり、
駅までは、
ほんの5、6分くらいだ。
留美は大丈夫と言い張ったが、
賢三は住宅街の暗い夜道を
心配して送ってくれるという。
たしかに夕方のそれとは違い、
住宅街の夜道は街灯も少なく
一人歩きには
多少の覚悟がいるように思われた。
歩き出してすぐに
点在する暗闇に怯えた留美は
賢三の付き添いに感謝することと
なった。
駅に向かう道中、
賢三はこの街の変わり様を
感慨深気に話していた。
夜風は相変わらず肌寒かったが、
賢三とゆっくり歩く雰囲気が
心地よく
また一人になる侘しさを思うと
なんだかもう少しこのままで
いたいとも思う。
賢三に気遣ってもあるが、
留美は自らも歩調をスローにして
賢三の話に相槌を打って歩いた。
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