今度はあなたからプロポーズして
留美は救急の治療室の前まで
付いていったが、
看護士達は、
賢三を部屋の中に運び込むと、
ピシャっと
カーテンを閉めてしまった。
留美は
張り詰めていた気が途切れて、
廊下脇の長椅子に
ヘタっともたれかかった。
心配する頭で一杯だったのか、
強く握りしめていた
賢三のパスケースをポトッと
落としてしまった。
パスケースが開いて落ちているのをそのまま拾い上げると、
一枚の写真が入っていた。
若い女性が赤ちゃんを抱いて
幸せそうに微笑んでいる。
春江であろうその女性を見て、
(本当に綺麗な人だわ…)
と留美は思った。