今度はあなたからプロポーズして
賢三は田舎から体一つで上京して
今や業界では知らない人はいない
くらいの洋食業界の巨匠だった。
都内に8店舗を経営する事業家で、
ルノワールはその中でも
賢三が一番最初に建てた店だと
いうことだった。
留美は、
何故、あの時の店員の挨拶が
ぎこちなかったのか
やっと理解した。
と同時に、
自分の店だと言わなかったことや
オーダーも全てしてくれたのも
全て賢三の気遣いだったことに、
改めて感心した。
その事を知ってれば、
きっと私は遠慮していただろう
今は横になっている賢三を思うと
留美は余計に辛さが込み上げてきた。
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