今度はあなたからプロポーズして
マンションに着くと、
恭一はエレベーターを待てずに
階段を駆け上がって、
留美の部屋の鍵を開けた。
意外に、おかえり~!と、
迎えてくれるのでは?という
淡い期待はあっさり裏切られた。
鍵を開けて入った部屋は、
真っ暗で冷んやりと静まり返っている。
(一体、どこに行ったんだ?)
途方にくれる恭一が奥の方を見ると、
月明かりに照らされて
薄っすらとマークらしき物が目に入る。
それはカレンダーの今日の欄に、
留美が書いたハートマークだった。
ハートマークの中には、
恭一と
デート
と書いてある。
今日を心待ちにしていた留美の
顔がフッと浮かんだ。
・