今度はあなたからプロポーズして
不安と期待で揺れながら、
今日という日を何日も前から
待ち望んだ自分を思い返すと
なんだかやるせなくなってきて、
また涙がにじんでくる。
涙をこぼれさせまいと
空を見上げたが、
赤く染まり始めた秋空は
キラキラと無駄に眩しく
今の留美には
余計に孤独感を増幅させた。
せっかく覚悟を決めたというのに
些細なトラブルにすら
揺れ動いている自分が情けない。
悩んだ末の決意が
こんなにも脆いものか、と…
だが、正直なところ
ホッとしている自分も混在した。
自分からのプロポーズにしたって
思えば
ただ焦燥感に煽られてのことだ。
巣くう不安を封じきれてないのも
虚勢を張っていたに過ぎない。
結局のところ
まだ私は踏ん切りが
つけられてはいないのだ…
もしも、恭一に断られて
独りになってしまったら?
冷静に語りかける別の自分を
振り切ることができないのだ。
頭の中でこだまする不安は
逆に響きを大きくして
ふらつく留美を飲み込んでいった。