今度はあなたからプロポーズして
(俺は、何をやってるんだ?)
(留美と築いてきたじゃないか)
(奈々とはもう終わってるのに)
(何を勘違いしてたんだ?)
ふと握った手を離した菜々子が
恭一の瞼に浮かぶ。
「大丈夫…一人で立てるから」
菜々は迷いながらも
自分の足で歩いているじゃないか
今日俺を呼び止めたのは、
自分は一人じゃないと
馴染みの顔に気が緩んで
寄りかかっただけ…
そう…
疲れた羽根を休ませただけだ…
(俺には留美がいる)
(留美が横にいてくれるのが
当然だった…)
(忘れちゃいけない…)
(一番大事にすべきは留美だろ)
今頃留美の大事さに気づくなんて…
恭一は静まり返った公園で、
一人後悔の念にかられていた。
「留美…」
…留美をもう離さない…
そう誓ったときだった。
聞き慣れた音楽が携帯から鳴り響く。
それは留美からの着信音だった。
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