今度はあなたからプロポーズして
留美の心情とは逆に、
目の前の公園は
爽やかな喧騒で賑わっていた。
掛け声に合わせて
ジョギングする部活動の中学生
犬の散歩中に話し合う主婦仲間
虫かごを持って
走り回る小学生の男の子達
何とはなしにぼんやりと
見回していた留美だったが、
端の方にいた
幼い子供連れの
若い夫婦に目が止まった。
子供はやっと
歩き出した頃なのだろう。
少し離れた所で
お父さんが両手を広げ、
たどり着いた我が子を
抱きかかえようとしている。
(いいなぁ…
きっと幸せの絶頂なんだろな)
笑顔が耐えない光景は、
秋空の陽射しよりも眩しく
留美は反射的に視線を逸らした。
と同時に、留美はまた
底知れぬ不安に襲われた。