今度はあなたからプロポーズして









「これ、お父さんが描いたの?」





「んん…まぁ、そうじゃ」





自分で描いたとは言え、
わしは少々照れくさくての。





「なんだか恥ずかしいわ

 看護士さん達も見たんでしょ?


 でも、いい絵ね。


 お父さん…らしいわ」





と、春江が喜んでくれているにも
関わらず
適当な生返事を返すのみじゃった





春江が目覚めたら言おうと
あれこれ言葉まで考えておったと
いうのに
いざその場になってみると
年甲斐もなく緊張してしまっての。






「元気になったら…何だ…その…
 また…あの公園に行こう…」






と言うのがやっとだった。






「そうね…」






春江はクスクス笑いながら頷くと





しばらく黙って絵を眺めていたが
気がつくとまた目を閉じて眠っていた。








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