今度はあなたからプロポーズして









一時はどうなることかと
プレゼントどころではなかったが




春江が目を覚ましたという連絡を
入れると、



息子夫婦は大層なプレゼントとは
いかなくても朝一番からあちこち
に足を運んでは何やら買い込んで来ていた。




6歳になる孫が、
【誕生日】というキーワードに
反応してなのか自分の興味なのか
病室の外に飛び出して行くと、





「おばあちゃん、おめでとう!」





と、リボンが付いた花束を抱えて
病室に戻ってきた。





「わぁ、すごい!
 健ちゃん、ありがとう!」





春江は
孫の健太郎の頭を撫でながら、




「こんな大きいのよく持てたねぇ

 健ちゃん、これおばあちゃんに
 くれるの?

 おばあちゃん、嬉しいわぁ」




と大袈裟に声を上げて喜んだ。




孫の健太郎は、




「はいっ!」




と得意満面に花束を渡すと
春江の横にちょこんと腰かけた。





二人の笑顔を見ていると
目を覚ましてくれてよかったと
心からそう思えてならなかった。









< 158 / 202 >

この作品をシェア

pagetop