今度はあなたからプロポーズして
「ありがとう…
留美さんがおらんかったら、
一生、気がつかなかったのかも
しれん…」
賢三は
起きている上半身で
できる限りに深々と頭を下げた。
「いえ、そんな……
御礼を言うのは…私の方です…
実を言うと、わたしは今日…
彼にプロポーズしようと
思ってたんです。
不安でたまらなかったけど、
村上さんと奥様の話を聞いて、
勇気をもらったような気が
します。」
留美も感極まってか、
自分の心に巣くう不安を告白した。
だが、まだ完全には払拭しきれて
いないわだかまりが
留美の視線を若干曇らせた。
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