今度はあなたからプロポーズして
春江を思い出したのか
賢三は不意打ちを食らったような
表情を見せたが、
「そうか…留美さんも
自分からプロポーズしようと…
じゃが、
わしらが勇気を与えたというの
はちと違うぞ。
わしに会う前から、
留美さんのここには勇気はあっ
たんじゃよ」
と左胸をポンポンと叩きながら
言った。
「どういうことですか?」
と留美が訊く。
「留美さんの中では、
あの青年が一番大事なものに
なっておるということじゃよ」
首を傾げている留美に
わからんか?とでも言いたげに
賢三は諭すようにさらに続けた。
・