今度はあなたからプロポーズして









賢三の元気そうな顔を確認すると
ベッド脇を囲んだ一同は
安堵の表情を浮かべた。




賢三の視線に
息子の一人が留美に気づくと、




「あなたは……?
 あ、あなたが父を病院まで…
 本当にありがとうございました」




と深々と頭を下げた。
それに順を追って皆が頭を下げる。




「いえ、わたしは何も…
 とにかく大事に至らなくて、
 本当によかったです」




息子達の丁寧なお礼に
恐縮しながら、
留美もかしこまって
ペコッと頭を下げた。




留美は頭を下げながら、
賢三との経緯を
いきなり訊かれなかったことに
ホッとしていた。




面識のない自分が
何故一緒にいるのかも
訊きたいところではあるだろう。




自分から説明しようかとも
思ったが、
それは賢三の立場も考慮して
任せることにした。








< 178 / 202 >

この作品をシェア

pagetop