今度はあなたからプロポーズして
賢三の元気そうな顔を確認すると
ベッド脇を囲んだ一同は
安堵の表情を浮かべた。
賢三の視線に
息子の一人が留美に気づくと、
「あなたは……?
あ、あなたが父を病院まで…
本当にありがとうございました」
と深々と頭を下げた。
それに順を追って皆が頭を下げる。
「いえ、わたしは何も…
とにかく大事に至らなくて、
本当によかったです」
息子達の丁寧なお礼に
恐縮しながら、
留美もかしこまって
ペコッと頭を下げた。
留美は頭を下げながら、
賢三との経緯を
いきなり訊かれなかったことに
ホッとしていた。
面識のない自分が
何故一緒にいるのかも
訊きたいところではあるだろう。
自分から説明しようかとも
思ったが、
それは賢三の立場も考慮して
任せることにした。
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