今度はあなたからプロポーズして









「ありがとうごじゃいました!」




お父さんの影から、顔だけ出して
小さな子も御礼を言ってくれた。




(この子が健太郎君ね)




と留美は即座に判断すると




「いい子ねぇ~っ!偉いわ!」




と留美は満面の笑みでしゃがむと
サラサラの髪を優しく撫でた。




健太郎は恥ずかしかったのか
またお父さんの足に抱きついて
陰から留美を凝視している。




家族が揃ったのに、
自分が付き添うのも気が引けると




「じゃ、わたしはこれで…」




と言って、
留美は病室の外に出ようとした。




息子二人とその嫁がまた深々と
頭を下げる。




「あ、や、お世話になったのは
 私のほうですので…」




と何とも格好がつかず、
留実は何度も頭を下げながら
そそくさと出口へと向かった。









< 179 / 202 >

この作品をシェア

pagetop