今度はあなたからプロポーズして
「ありがとうごじゃいました!」
お父さんの影から、顔だけ出して
小さな子も御礼を言ってくれた。
(この子が健太郎君ね)
と留美は即座に判断すると
「いい子ねぇ~っ!偉いわ!」
と留美は満面の笑みでしゃがむと
サラサラの髪を優しく撫でた。
健太郎は恥ずかしかったのか
またお父さんの足に抱きついて
陰から留美を凝視している。
家族が揃ったのに、
自分が付き添うのも気が引けると
「じゃ、わたしはこれで…」
と言って、
留美は病室の外に出ようとした。
息子二人とその嫁がまた深々と
頭を下げる。
「あ、や、お世話になったのは
私のほうですので…」
と何とも格好がつかず、
留実は何度も頭を下げながら
そそくさと出口へと向かった。
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