今度はあなたからプロポーズして
病室を出ると、ちょうど恭一が
走ってくるところだった。
「留美っ! 大丈夫か~っ?」
深夜の病院の廊下を
大声あげて走ってくるなんて…
非常識極まりないと呆れたが、
恭一のいつになく真剣な顔に、
なんだか笑えてきて、
留美はプッと吹き出した。
「さ、帰るわよ」
とスタスタ歩き出す留美に、
「え!? もう、いいのか?」
と慌てて、恭一が後を追う。
病院を出たところで、
留美はふと振り返って見上げると
711号室だけが
明るい光を煌々と照らしていた。
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