今度はあなたからプロポーズして
二人は、朝早くから出発した。
始発には間に合わなかったが、
8時前の新幹線に乗ると、
9時には静岡駅に着いていた。
そこから御前崎まで行くには、
高速バスで2時間ほど掛かるとの
ことだった。
恭一は静岡駅までは起きていたが
バスに乗り込むとすぐに寝息を
たてはじめている。
駅を出て5分とかからないうちに
バスから見える景色は見晴らしの
いい山々を抜ける高速へと移っていった。
留美は関心の無さそうな恭一に
多少ムッとしながらも
(見慣れた風景だし、
朝早かったから仕方ないか…)
と恭一を無理に起こすこともせず
窓から見える景色を一人楽しんだ。
長いトンネルを抜けて、
しばらく走ると大きな河川が
視界に入ってきた。
その河口にはキラキラと光る海が
垣間見えている。
地元ではごく当たり前の光景も
初めて観る留美にはすべてが新鮮
に映った。