今度はあなたからプロポーズして









車内は最終の降着場に着く頃には
既に乗客もまばらになっていた。




「元々ツーリングのメッカだし、
 海水浴には季節外れだからな」




寂しくなった車内や海辺を言い訳
しながら
恭一はバスを降りた。




バスを降りると、
目の前に太平洋が広がっている。




二人は羽を伸ばすように胸一杯に
大きく深呼吸した。




ツンと鼻をつく潮の香がなんとも
心地よい。




(この感じ、久しぶりだなぁ…)




久々に感じる波の音と潮の香りに
留美の胸は踊った。




「おかしな…今日は風がない…」




と横にいた恭一は首を傾げながら
防波堤の上まで登ると西の砂浜を見回している。




何だろう?と留美も防波堤の上に
立ってみた。







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