今度はあなたからプロポーズして
(えっ!?)
(…誰??……何?)
一瞬の間が空くほどに留美は困惑したが、
その老紳士の風貌に
内心、ホッとしてもいた。
一見ではあるが、
怪しそうな感じは微塵もない。
留美が不信を露にしても
尚、老紳士は微笑み続けている。
どうやら危害を加えられることは
最低限なさそうだ…。
「何…でしょうか?」
留美が不安気に口を開くと、
『先ほどの青年は、
お嬢さんの旦那さんかね?』
と警戒する留美とは対照的に
老紳士は
唐突に馴れ馴れしく質問してきた。
が、妙な嫌らしさは感じられない。
それに説教じみて
シルバー優先のベンチだなどと
文句を言うつもりでもないらしい。
むしろ、その口調や雰囲気には
不思議と好感が持てた。