今度はあなたからプロポーズして
「それにしても、
こんな綺麗なお嬢さんを
泣くまで怒らせるんじゃから、
あの青年はよほどヒドいことを
したんじゃろうのぉ?」
(きれいなお嬢さん?)
老紳士の上手い世辞に
硬かった留美の表情が自然と緩む。
「そうなんですよ~…
彼ったら、ひどいんです。
今日は久々のデートだったのに
仕事の連絡が入ったら
すぐに飛んでっちゃって…
それってあり得ないですよね?」
と緊張の糸まで弛んだのか
先ほどの惨状に賛同を得ようと
調子づいた留美だったが
「そうか…仕事にの…
休日に仕事とは大変じゃのぅ
それにしても
ずっと一緒にいたいとは…
お嬢さんはあの青年のことが
余程、好きなんじゃな…
結構なことじゃ!」
賛同どころか的を得た返答に、
留美は急に恥ずかしくなって
頬を紅潮させた。
(……たしかに、のろけ話だ。)
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