今度はあなたからプロポーズして
「まぁ…プロポーズといっても、
一方的に転がり込んできて
居座ったようなもんじゃがの」
「へぇ~、じゃぁ、
おじいさんは昔は
相当モテたんでしょうねぇ?」
と留美が茶化すと、
「まぁ…、
それほどでもなかったが…の」
と老紳士も茶目っ気たっぷりに
吹いてみせた。
「でも、奥様って
どんな方だったのかしら?
もし、差し障りなかったから、
是非話して
いただけないですか?」
と留美は興味津々といった感じで
老紳士に頼み込んだ。
自分が抱える不安を
解消してくれるのかもしれない
という期待に胸が膨らむ。
一目で伝わるほどに
留美の目はみるみる輝きを増した。
片や興味の的となった老紳士は
何ら動ずることもなく
穏やかな笑顔を崩さない。
その目には余裕というよりは
経験からきてるであろう貫禄すら
感じられた。
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