今度はあなたからプロポーズして
「ところで、先ほどの青年は
ここに戻ってくるのかね?」
留美の勢いを鎮めるためか
それとも状況を心配してか、
何故か急に老紳士はそう訊いた。
「さあ……仕事のトラブルって
言ってましたからね。
すぐに戻ってくるかどうか…」
と留美が首を傾げると、
「では、もうすぐ日も沈むし、
続きは食事をしながらと
いうのはどうかね?」
と言う
老紳士の思いがけない誘いに
留美は面を喰らった。
だが、悪い気はしなかった。
相も変わらず
その口調には好感が持てる。
留美は気を良くして目を細めると
冗談めかして言葉を返した。
「それって……
私をナンパしてるんですか?」