今度はあなたからプロポーズして
レストラン…(留美と賢三)
公園から
15分ほど歩いたところで、
賢三は立ち止まると
「ここじゃ」
とレンガ造りの門を指差した。
重そうな鉄格子が内側に開き、
両側のランプが薄っすらと
レストランの名を照らしている。
「レストラン ルノワール」
(えっ!?…)
(…ここ?…高そう…だけど?)
ここまで軽い気持ちでついて来た
留美の表情がひきつった。
ここまでの道程は
閑静な住宅街だったこともあり、
留美はこじんまりとした個人店を
想像していたが
その門構えは遥かに留美の想像を
超えている。
賢三の身なりといい、
レストランの佇まいといい、
これから自分が場違いな世界に
入ろうとしているのでは?と
にわかに勘づくと
留美は手に汗が滲むのを感じた。