今度はあなたからプロポーズして
門をくぐると、
スラローム状に石畳が敷いてあり
その脇には緑が生い茂っている。
石畳に沿って奥に進むと、
南欧風の建物が徐々に顔を見せてくる。
壁の日焼け具合といい、
生い茂った植物のツルが
幾重にも壁に這っている様といい
いかにも
「老舗」の様相を呈していた。
(テーブルマナーって、
習ったのいつだっけ…?)
あたふたと心配する留美をよそに
賢三はどんどん歩を進めていく。
店の正面玄関前まで来ると、
留美の緊張は更に高まっていた。
レストランの入口は、
電気仕掛けのライトではなく、
本物のロウソクが
照らす大きなランプが両脇に構え
上品であろうお客達を迎えている。
間が抜けたように口を開けたまま
留美は立ち尽くしていたが、
賢三の手招きに気づいて
我に返ると、
その心中は
焦燥感に追いたてられた。
(かなりの高級店…ですけど?)
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