今度はあなたからプロポーズして









門をくぐると、
スラローム状に石畳が敷いてあり
その脇には緑が生い茂っている。




石畳に沿って奥に進むと、
南欧風の建物が徐々に顔を見せてくる。




壁の日焼け具合といい、
生い茂った植物のツルが
幾重にも壁に這っている様といい


いかにも
「老舗」の様相を呈していた。





(テーブルマナーって、
 習ったのいつだっけ…?)





あたふたと心配する留美をよそに
賢三はどんどん歩を進めていく。




店の正面玄関前まで来ると、
留美の緊張は更に高まっていた。




レストランの入口は、
電気仕掛けのライトではなく、
本物のロウソクが
照らす大きなランプが両脇に構え
上品であろうお客達を迎えている。




間が抜けたように口を開けたまま
留美は立ち尽くしていたが、



賢三の手招きに気づいて
我に返ると、
その心中は
焦燥感に追いたてられた。







(かなりの高級店…ですけど?)









< 33 / 202 >

この作品をシェア

pagetop