今度はあなたからプロポーズして
二人が店内に入ると
ウェイターがすぐに気づいたが、
「いらっしゃ……ぃませ~」
と驚いて言葉を詰まらせたような
何か違和感のある挨拶をくれた。
留美は
何だろう?と不穏に感じたが、
賢三は全く意に介することもなく
「今日はコースで頼む」
と一言だけそのウェイターに
告げると、
まるで決まっているかのように
奥側の席まで行って腰を降ろした。
(今日は?)
(常連なのかな?)
留美は賢三の慣れさ加減に
気を取られて立ち尽くしていたが
「どうぞ、こちらへ」
と誘導するウェイターの声に
ハッと我に返ると、
軽く会釈をして
賢三の待つ席へと早足に向かった。