今度はあなたからプロポーズして
あっという間に一週間が過ぎ、
早朝から…というよりは前夜から
どの絵を持っていこうかと悩みに悩んだ末、
2,3枚の絵を
スケッチブックに挟むと
「約束の場所」へと急いだ。
先週の時間よりも
3時間も前に着いたわしは、
ベンチの位置を直しては
きれいに拭いてみたり、
春江が来たときにどう迎えたらと
リハーサルを何度も繰り返しては
楽しむどころか忙しく時間を過ご
してながら待っていた。
近所の子供たちが
どんなに懸命に冷やかそうとも
まったく耳にも入らなかった。
今思い返せば恥ずかしい限りだが
その時のわしは本当に無我夢中だ
った。
何せ初めてのことじゃからな。
何事も粗相があってはいかん、と
くだらん心配ばかりしておった。