今度はあなたからプロポーズして
じゃが、約束の時間になっても、
春江は来なかった。
ひょっとしたら、
お嬢様の気まぐれだったのでは?
いや、
何かトラブルがあったのかも?
事故にあったのではないか?…
などと、不安に駆られては
あらぬ想像を繰り返していた。
必死に絵を選んでいた自分を
嘲笑いたくなりかけたその時
約束の時間より20分近く遅れて
春江は公園に現れた。
しかも、
手作りのサンドウィッチまで
作ってきてくれている。
途端にわしの手は汗が滲み
スケッチブックを汚すまいと
慌ててベンチに置いて
サッと立ち上がると
カチコチの笑顔で春江を迎えた。
・