今度はあなたからプロポーズして










「本当にすみませんでした。


 でも、よかった!
 待っててらっしゃってくれて」





と目を輝かせる春江は
本当に言い様のない可愛さだった





とにもかくにも
春江はちゃんと来てくれた。





リハーサルとは程遠い出来で
ベンチに誘うと、


モタモタするわしが差し出すより
先に春江がハンカチを敷いて
くれている。





タイミングを失って焦ったわしは
慌てて丸めると
ポケットに押し込んだ。





何とも情けないその体たらくに
さっき冷やかしていた少年達が
木陰から野次を飛ばす。






わしが真っ赤になりながら
必死に追い払うのを見て、
春江は微笑ましく笑っていた。











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