今度はあなたからプロポーズして
「いえ、そうではなくて…
僕は特に絵の勉強を
したわけではないですから
教えると言っても……」
わしが慌てて誤解を解くと、
春江はフフっと笑って、
「だから、いいんじゃないですか
独学ってことは、
あなたにしか描けないってこと
でしょ?
学校の先生が教えるのは
印象派だとか
何とかって解りづらいし…
みんな同じような絵を描かされ
るんだもの…
……つまんないわ。」
とわしの心配を吹き飛ばすように
言った。
「では、私でよければ」
多少、気は引けたが、
春江とまた会えるという嬉しさに
わしはつい承諾した。